本気の不動産投資ゼミ、第3回は「自分の属性を知る」です。
第2回でもご説明しているように、不動産はローンを組んで投資をするのが一般的であるため、当時を始めるにはローンに通らなければ始まりません。
また、仮にローンに通るとした場合、いくら程度の融資が受けられ、いくら程度の物件を、何件買えるのかを知っておくべきです。
そのため、自分の年齢、勤務先、年収、勤続年数、借入状況などから、自分がどの程度の評価を受けられるか知っておくことが大切です。
なお、ローンの審査時、これらの評価については属性という指標で見られるのが一般的です。
本記事では、不動産投資のローン審査にあたり、重要な審査項目である属性について解説していきます。
ローンの審査に通るために自分の属性を知ろう
不動産投資ではローンを受けて物件を取得するのが一般的で、物件取得にあたり、まずは金融機関からの融資承認を得る必要があります。
融資の可否や借入限度額の判断には属性と呼ばれる、借入人の返済能力をはかる指標が用いられます。
属性とは?
そもそも、属性とは何なのでしょうか。
属性は「個人属性」のことで、借入人の職種や勤務先などの社会的背景、年収や保有資産などの経済的状況を指します。
具体的には、以下のような項目で属性が判断されます。
- 勤務先情報:雇用状況、会社名、部署、勤続年数など
- 収入:直近3年間の収入など
- 金融資産:預金や金融商品、保険など
- 個人信用情報:他の借入状況や過去の延滞履歴など
- 住居情報:持家に住んでいるか賃貸か、持家の場合はローンを組んでいるかなど
中でも影響の大きいのが勤務先に関する情報で、自営業なのか会社員なのか、はたまた上場企業なのか中小企業なのか、医師や弁護士など特別な資格の必要な仕事なのか、といったことが見られます。
基本的には、個人事業主や自営業だと評価は低く、会社員の中でも上場企業など安定性の高い会社は評価が高いです。
また、医師や弁護士など特別な資格を必要とする仕事や公務員も高い評価を得られます。
基本的な視点としては、将来に渡って安定した返済原資(給料)を得られるかどうか、ということです。
上場企業や公務員であれば勤務先が倒産する可能性は低いでしょう。
また、医師や弁護士などの特別な資格職であれば、仮に職場が倒産しても次の職場で、また同じような収入を得られる可能性が高いと判断できます。
属性により融資条件に差が出る
属性は、融資の可否だけでなく、融資条件にも影響を与えます。
属性がよいと判断されればよい条件で、属性が悪いと判断されれば悪い条件での融資となります。
具合的には、属性により以下のような項目に違いが生まれます。
- 借入限度額
- 金利
- 借入期間
それぞれについて、詳しく見てみましょう。
属性がよければ借入限度額は大きく、金利は低い条件で借りられる可能性が高いでしょう。
借入期間については、主に物件の耐用年数に応じて決まるため、属性による差はそこまで大きくないですが、やはり属性がよければ、借入期間を長くできる可能性が高くなります。
金利を低く、借入期間を長く設定することができればそれだけ毎月の返済額を安くすることができ、余裕を持った資金繰りが可能となります。
また、借入可能額については、多額の借入をできれば、取得できる物件の層が広まりますし、同じ物件を取得するにしても借入額を多くできればレバレッジを効かせた投資が可能となります。
ただし、借入額を大きくするとそれだけ返済額が高くなり、資金繰りは悪化してしまいます。
もちろん、借入可能額が大きくなるだけなので、実際の借入額については必要最小限の額に抑えることが可能です。
以上のように、属性が高ければそれだけ良い条件で融資を引き出すことが可能になり、多額の借入をすることが一般的な不動産投資においては、引いては属性がよいことがそのまま不動産投資の成功確率を高める要因ともなりえます。
年収300万円の中小企業勤務
属性は融資審査に大きな影響を与えますが、すぐに変えることは難しいため、今の属性がよくとも、悪くとも、まずは自分が金融機関からどのような評価をされる属性なのか把握しておくことが大切だと言えます。
以下で、いくつかのパターンで年収や勤務先を想定し、融資審査を受けるとどうなるのかについてシミュレーションしていきます。
年収が低いと借入可能額が低くなる
まずは、年収300万円の中小企業勤務の方を想定してみます。
不動産投資において、年収の評価はそこまで大きなものではありません。
取得する物件が収入を生みだすからです。
とはいえ、仮に家賃収入でローンの返済ができなくなった場合、給料から返済することも想定しなければならず、そう考えると年収300万円では審査の承認を得るのが難しいでしょう。
仮に年収が低くとも、勤務先がよければ融資にプラスとなることがあります。
一般的に、中小企業勤務は正社員であってもそこまで高い評価を得られません。
ただ、地元の地方銀行や信用金庫などで、勤務先企業について高い評価をしているような場合もあり、その場合は融資にプラスとなることもあります。
総じて、年収300万円、中小企業勤務の方は審査においてかなり厳しい属性だと言えます。
自己資金を貯めたり、年収を上げたりして、属性を高める努力をする必要があると言えます。
年収500万円の自営業
年収500万円の自営業は、金融機関からどのように評価されるのでしょうか。
自営業はかなり評価が低い
このケースでは、年収500万円あるので年収的にはそう悪くありません。
しかし、自営業であることから審査はかなり厳しいものとなるでしょう。
特に、自営業を始めて1~2年しか経っていないような状況であれば、まずは3年以上経ってから審査を受けることをおすすめします。
自営業は毎年の収入が不安定ですし、いつ仕事がなくなるか分からないからです。
自営業を続けるのであれば、年収を高める努力をすると共に、長い期間安定して事業から収入を得られていることを証明する必要があると言えます。
年収800万円の公務員
次は年収800万円の公務員です。
公務員は総じて高い評価を受けられる
ローンの審査において、公務員であることは非常に高い評価を得られます。
地方自治体が倒産する可能性はかなり低いですし、クビになる可能性も低いからです。
さらに、年収800万円あることから、属性としては申し分なく、融資の可否だけでなく融資条件についてもよい評価をされることでしょう。
年収1000万円の医師
最後に、年収1,000万円の医師について確認します。
医師も属性としては高く評価される
医師も属性としては高く評価されます。
これは、医師免許という資格を保有していることにより、仮に職場が変わることがあっても、今までと同じ経験、技術を使って、同じような年収を得られる可能性が高いからです。
これは、他の資格職にも当てはまり、例えば看護師や放射線技師など特殊な資格が必要な仕事は審査において高く評価されます。
医師については、一般的に年収が高いことが多いことから、そうした資格職の中でも高い評価を得られます。
このケースでは年収1,000万円あることから、融資の可否の判断においても、融資条件についてもよい条件となる可能性が高いでしょ。
属性を知って属性に応じた努力をしよう
不動産投資では、融資を受けて物件を取得するのが一般的なこともあり、まずは融資承認を得る必要があります。
そのため、融資審査に大きな影響を与える「属性」についての理解が欠かせません。
属性については、すぐに大きく改善することが難しいため、まずは自分がどのような属性で、金融機関からどのように評価されるのかを知った上で、属性に応じた努力をすることが大切です。