不動産投資で得た家賃収入は、経費を差し引いた利益額を計算し、確定申告して税金を納める必要がありますが、経費にはどういったものを盛り込めて、どういったものが盛り込めないのでしょうか。
本記事では、不動産投資で経費にできるものとできないものについて解説していきます。
不動産投資の経費とは
不動産投資で得られた収入は不動産所得として計上し、その利益額に応じて税金を納める必要があります。
不動産所得の計算においては、経費を差し引くことができますが、その計算方法は以下の通りです。
不動産所得=総収入金額-必要経費
つまり、必要経費が大きくなればなるほど納めるべき税金を少なくできます。
しかし、必要経費は、出費したものを全て経費にできるわけではありません。
以下で、不動産所得の計算上、経費とできるものとできないものについてお伝えしていきます。
不動産投資の確定申告で経費にできるもの
不動産所得の計算上、経費にできるものには以下のようなものがあります。
- 各種税金
- 火災保険料
- 管理委託費
- 司法書士報酬と税理士報酬
- 減価償却費
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
各種税金
固定資産税や都市計画税、不動産取得税、印紙税など不動産のために出費した税金を経費とできます。
火災保険料
物件のためにかけた火災保険や地震保険の保険料を経費とできます。
管理委託費
不動産会社に管理を委託した場合、その委託費用を経費とできます。
司法書士報酬と税理士報酬
不動産取得時の登記の際に司法書士に支払った司法書士報酬や、確定申告のために税理士に支払った税理士報酬を経費にできます。
減価償却費
建物の取得価格を耐用年数で割った額を毎年減価償却費として計上できます。
例えば、1億円で購入した物件の耐用年数が40年だった場合、毎年250万円程度を経費とできます(ただし、実際には耐用年数に応じた償却率をかけて減価償却費を求めます)
不動産投資の確定申告で経費にできないもの
一方、不動産所得の計算上、経費とできないものの内、代表的なものが所得税と住民税です。
これは、不動産所得が所得税と住民税の納税額の計算のためのものだから、という理由だと言えます。
また、生計を一にする(同居している場合や、別居している場合でも生活費を送金している場合など)配偶者やその他親族に支払う地代家賃や借入金利息も経費とできません。
同じく、生計を一つにする配偶者やその他親族に支払う給与賃金は経費とできませんが、一定の条件を満たせば青色事業線儒者給与として経費にできます。
不動産投資の経費で注意が必要なもの
不動産所得における経費の計算上、注意が必要なものが以下の2つです。
- ローン返済
- 修繕費
ローン返済
アパートローンなど不動産投資のために支払ったローンについては、その返済額の内、借入金利子にあたる部分だけ計上でき、元本返済分については計上できません。
修繕費
修繕費については、修繕工事の内容によって経費への形状の仕方が異なります。
基本的な考え方としては、時間の経過によって劣化した部分について、原状回復のために修繕を施す工事であれば、その全額を一括して経費計上できます。
部屋のクリーニングや壁紙の交換、マンションの場合は管理費や修繕積立金はこちらに分類されます。
一方、建物の機能を向上させるための工事は「資本的支出」と考えられ、その費用を建物の耐用年数の期間にわたって減価償却することになります。
例えば、階段を新しく追加したり、外壁をアップグレードしたりしたケースがこちらに当てはまります。
経費をあらかじめ予測して計画を立てよう
不動産投資に取り組む上で、毎年の納税額がいくらになるかは、投資のパフォーマンスも左右する重要な問題です。
また、毎年あらかじめどのくらいの納税額になるのかを予測しながら納税資金の準備を進めていく必要があるでしょう。
確定申告については、税理士に依頼する方が多いかとは思いますが、それにしても、自分でどのくらいの額を経費とできるかについては把握しておくことをおすすめします。