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かぼちゃの馬車事件に見るサブリースの甘い罠 | TAFU!
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不動産投資コラム

かぼちゃの馬車事件に見るサブリースの甘い罠

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スマートデイズ社の運営する女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」は、さまざまな問題があったのにも関わらず「30年家賃保証」の”サブリース契約”により、多くのオーナーと契約を結び、事業を急成長させました。しかし、その後の倒産に至るまでの経緯を見てみると、甘い罠とも言える、サブリース契約のリスクが見えてきます。

本記事では、かぼちゃの馬車事件の概要や問題点をお伝えすると共に、サブリース契約のリスクや無理なローンを組むリスクについてご紹介していきます。

かぼちゃの馬車事件の概要

かぼちゃの馬車事件は、女性向けシェアハウス事業を営むスマートデイズ社が経営破綻し、同社とサブリース契約していたオーナーへの賃料が未払いとなった事件です。後に、法外なキックバックが行われていたことや、スルガ銀行による不正融資が行われていたことが明るみになり、社会的にも大きく取り上げられました。

かぼちゃの馬車とは

「かぼちゃの馬車」はスマートデイズ社の展開していた女性向けシェアハウスのブランド名で、以下のような特徴がありました。

  • 1部屋の広さは7㎡程度で狭く作られている
  • 入居時に敷金、礼金、仲介手数料がかからず保証料1万円だけ
  • 家具家電完備
  • 入居者には仕事のあっせん有り(アデコ)
  • 家賃は管理費合わせて4万円程度に設定
  • インターネット利用料や光熱費は管理費込み

家具家電完備で入居時に必要な資金も少なくて済み、また仕事のあっせんも行っているように、主に地方から上京する女性をターゲットに設計されていることが分かります。ただ、1部屋が非常に狭く、また共用部にはリビングのようにくつろげるスペースはなく、家賃も周辺のワンルームと比べて割高感がありました。

かぼちゃの馬車とサブリース

スマートデイズ社はかぼちゃの馬車について、その建設から賃貸の管理運営まで全てを請け負う「サブリース契約」をオーナーと結んでいました。

サブリース契約とは、サブリース会社(この場合はスマートデイズ社)が物件を一括借り上げし、オーナーは物件の入居状況に関わらずサブリース会社から毎月一定額の賃料の支払いを受けられるというものです

オーナーはサブリース会社に10~30%程度の管理手数料を支払う必要がありますが、空室が出ても毎月安定して賃料を得られるというメリットがあります。かぼちゃの馬車のサブリース契約は「頭金なしで始められ、30年間の家賃収入を保証」することを謳い文句としていました。

かぼちゃの馬車の問題点

かぼちゃの馬車にはさまざまな問題点がありました。それら問題点について解説していきたいと思います。

高金利ローン

かぼちゃの馬車は提携ローンとして「スルガ銀行」のローンを用意していました。このローンというのが、借入期間30年・金利3.5%という、現在のローンの中では高金利と言えるローンです。

もちろん、物件の収益性が高ければ高金利のローンでも検討の余地はありますが、かぼちゃの馬車の想定利回りは8%程度。収益8%に対して金利が3.5%ですから、手残りは4.5%しかありません。

物件価格が高い

スマートデイズ社の提示する価格は、更地価格+標準的建築価格に比べて相当高いものでした。実は、スマートデイズ社はシェアハウスを建てるにあたり、その施工会社から建築費の50%をコンサルティング費用などの名目で受け取っていたとされています。これはキックバックと呼ばれるもので、違法ではありませんが、通常は2~3%程度であることが多いです。

なお、スマートデイズ社はこのキックバックで事業を運営するための利益を得ており、サブリース契約の赤字の補填をしていたと考えられています。かぼちゃの馬車事件は、スルガ銀行の融資方針転換により新しくオーナーを見つけてシェハウスを建てることができなくなったことから、資金繰りが困難になり、経営破綻することになりました。

転用が難しい

かぼちゃの馬車は1部屋7㎡程度とかなり狭く、また共用部も狭い独特な間取りということもあり、いざサブリースがうまく行かなくなった際に転用が難しい物件でした。なお、サブリース契約は、サブリース会社が倒産してしまった場合は、オーナーが入居者との契約を引き継ぎます。

倒産するくらいなので入居率はかなり悪いことが想定されます。いざそうなった時に転用が難しいこともあり、その後の運用に困ってしまう可能性が高いと言えるでしょう。

サブリース契約のリスク

かぼちゃの馬車事件の経緯をご説明しましたが、ここで教訓としたいのが、サブリース契約のリスクについてよく理解しておくということです。ここでは、サブリース契約のリスクとして以下のようなことをお伝えしたいと思います。

  • 長期契約でも家賃が減額される
  • 長期契約でも途中解約される
  • サブリース契約がなくなると自分で運営する必要がある

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

長期契約でも家賃が減額される

まず、かぼちゃの馬車のような30年のサブリース契約であっても、サブリース会社からオーナーへ支払われる家賃の減額請求がなされることはあります。なお、このことについてはサブリース契約の契約書に「〇年に1度更新する」といったことが書かれていることも多いので契約前に確認しておきましょう。

かぼちゃの馬車では、8%程度の利回りに対して3.5%の金利でローンの貸付けがなされていたことをお伝えしました。家賃の減額がなされると、さらに手元に残るお金は少なくなっていってしまいます。例え30年契約であっても、当初の家賃が30年続くわけではないことを理解しておきましょう。

長期契約でも途中解約される

サブリース契約は30年契約であっても途中解約されることがあります。例えば、サブリース会社から家賃の減額請求がされた時、オーナーがそのことに納得しなければサブリース契約が途中解約となる可能性があります。

サブリース契約が解約された後は、その時点の入居者の契約はオーナーが引き継ぐことになります。なお、途中解約に関する条項も契約書に記載されていることが一般的ですので、こちらもよく確認してから契約するようにしましょう。

サブリース契約がなくなると自分で運営する必要がある

サブリース契約が途中解約となった場合や、かぼちゃの馬車のように運営会社が倒産してしまった場合には、その後の運営についてはオーナーが行っていく必要があります。特に、かぼちゃの馬車のように特殊なビジネスモデルで運営されていると、引き継いで運営してもまともな利益を残すことが難しいでしょう。

また、特殊な間取りであることから転用も難しいです。サブリース契約を締結する際は、途中で倒産したり、解約となったりしないような会社を選んだ上で、いざ自分が運営することになった時に十分運営していけるかどうかも考えておく必要があります。

無理なローンを組むリスク

かぼちゃの馬車では「頭金0円から始められる」ことを謳い文句としていました。しかも、スマートデイズ社は年収を改ざんするなどしてスルガ銀行から融資の承認を得ていたとされています。

つまり、本来であれば融資を受けられなかった人(もしくは受けられない可能性が高かった人)が融資を受けていたということになります。もちろん、不正融資についてはオーナーに責任はありませんが、こうした無理なローンを組むリスクについては知っておくべきでしょう。

頭金0円で本当に大丈夫?

不動産投資では頭金0円、つまり物件価格の100%を融資で賄う「フルローン」を利用できることがあります。確かに投資家からすると自己資金を使わずに物件を取得できることは魅力的です。

しかし、自己資金を用意しないで物件を取得すると、それだけ利回りが悪くなってしまいます。自己資金が潤沢にあり、頭金を払うことはできるけれどあえてフルローンにするという選択肢を取っているのならば問題ありません。

もっとも気をつけるべきは、自己資金を「出さない」のではなく、「出せない」ないのにフルローンを組んでしまう場合です。自己資金がほとんどない状態でフルローンを組んで物件を取得しても、その後大きな支払いが必要になった時点で不動産経営が頭打ちになってしまう可能性が高いからです。

特に、初めて不動産投資に取り組むような方は、安易に「頭金0円」、「フルローン」といった言葉に飛びつかないようにしましょう。

サブリース、フルローンにはリスクがある

かぼちゃの馬車事件の概要や問題点、そこから分かるサブリース契約のリスクや無理なローンを組むリスク等お伝えしました。かぼちゃの馬車では「頭金0円で30年間家賃保証」という何とも魅力的な謡い文句が使われていましたが、その内容を見てみると問題ばかりであることが分かります。

とはいえ、後から見てみると冷静に見られますが、実際にその場にいれば契約の当事者になっていたという方も多いかもしれません。そうならないために、不動産会社や金融会社の言うことを鵜呑みにするのではなく、慎重に、冷静に、投資するべきなのか判断する必要があると言えるでしょう。

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