民泊施設は本人確認の甘さや防犯カメラがないケースが多いことから、犯罪の温床となってしまう危険性があります。
すでに、民泊施設では何件か事件が起こってしまっていることもあり、これから民泊を始める方はそのことをよく理解しておく必要があります。
本記事では、過去に民泊施設で起こった事件についてその内容をご紹介していきます。
大阪のヤミ民泊施設で起こった米国人による女性殺害事件
民泊を舞台にした事件としてはその凄惨さから強い印象を残した事件です。
この事件はマッチングアプリで知り合った20代の米国人男性と日本人女性が民泊マンションに入り、女性が殺害されたというもの。
男性は滞在90日以内の観光目的で入国し、4カ所の民泊施設を転々としていたとされています。
大阪の民泊施設が犯罪者のアジトになっていた事件
こちらの事件は民泊施設が特殊詐欺グループのアジトになっていたという事件。
施設内からは詐欺に使われた携帯電話50台やノートパソコンが押収されており、パソコンには健康商品販売に絡んだ5万7,000人分の名簿が保存されていたとされています。
この詐欺グループは数週間ごとに民泊を転々とし、名簿をもとに電話で詐欺を仕掛けるアポ電を繰り返していたとされています。
こうした特殊詐欺グループによる犯行とみられる事件が、都内でも相次いで起こっています。
初台で起こった2,000万円強奪事件
初台で起こったこちらの事件では、3人組が住宅に押し入り、高齢夫婦の身体を縛り現金2,000万円が強奪されました。
押し入りの日の2日前にアポ電があったとされています。
笹塚で起こった400万円強奪事件
笹塚でも同様の事件が起こっており、3人組が住居に押し入り高齢夫婦の両手を縛り現金約400万円が奪われています。
こちらも2日前にアポ電があったとされています。
東陽で起こった強盗殺人事件
東陽で起こったこちらの事件では同じような手口で殺人事件に発展してしまいました。
事件の前には不審な3人組が出入りされていたとされ、また被害者は亡くなる前に知人にアポ電があったことを伝えていたそうです。
東京都世田谷区で男性遺体
この事件は東京都世田谷区の民泊施設で起こった事件で、30代のアジア系外国人と見られる男性が遺体で見つかったというもの。
死体には目立った外傷はなく、民泊を利用しようと訪れた女性が遺体を発見したとされています。
民泊は犯罪の温床?
ご紹介したように、過去には民泊施設を利用した事件が起こっており、また特殊詐欺グループのアジトとなっていることから分かるように、民泊が犯罪の温床となっているケースがあるようです。
特に、許可を得ずに運用されているヤミ民泊だと宿泊者名簿の保管義務もありません。
一方、大阪で特殊詐欺グループのアジトにされていた民泊施設は市の認定を受けて運営されていた施設でした。
運営者は、まさか自分の施設が犯罪者グループに使われているとは思いもよらなかったと話しているそうで、「今後は鍵を対面で受け渡して本人確認するなど悪用を防ぐ方法を検討したい」としています。
民泊新法における宿泊者名簿の取り扱いは?
特にヤミ民泊施設で犯罪が起こりやすいことをお伝えしましたが、2018年6月15日に施行された民泊新法では本人確認や宿泊者名簿の取り扱いについてどのように取り決めされているのでしょうか?
この点、民泊新法の適用を受けて届出をした住宅宿泊事業者は以下のことが義務づけられています。
- 宿泊開始までに本人確認を行う
- 宿泊者名簿を一定の場所に備えつけ3年間保存する
- 都道府県知事から要求があったときは提出する
なお、本人確認の方法には対面以外にもテレビ電話やタブレット端末等による方法で確認してよいこととされています。
民泊施設を犯罪の温床としないための取り組み
ヤミ民泊を中心に、民泊施設が犯罪の温床となっていることをお伝えしました。
民泊新法の施行と前後して、こうしたヤミ民泊の摘発が進められていますが、適法に運営されていた施設でも犯罪者グループのアジトとなっていた実例があります。
民泊新法では、長期滞在者に対しては「チェックイン時に本人確認を行っていない者が宿泊しないように、不審な者が滞在していないかや、滞在者が所在不明になっていないか確認することが望ましく、特に宿泊が7日以上の場合には、面会等により確認を行う必要がある。」としています。
こうした取り決めの一つ一つをしっかり実施していくことが大切だと言えるでしょう。