海外不動産投資には、国内不動産投資と同様のリスクがあるのに加え、海外であるが故のリスクも多数存在します。
基本的に、海外不動産投資の方が国内不動産投資よりリスクが高いため、物件取得前に、しっかりそれぞれのリスク回避方法を考えておくことが大切です。
本記事では、海外不動産投資に関する7つのリスクをご紹介すると共に、それぞれの回避方法について解説しています。
海外不動産投資のリスク1:為替レートの変動リスク
まずは為替レートの変動リスクです。
海外不動産投資では、物件そのものの資産価値の変動や家賃収入の他、為替レートの変動も投資の成果に大きな影響を及ぼします。
例えば、不動産の1年間の運用で10%の利回りがあり、さらに資産価値が10%上昇したとしても、為替レートが20%円高方向に動いてしまってはプラスマイナスゼロです。
投資した国の経済情勢が傾けば、資産価値も為替レートもマイナスになることも考えられるでしょう。
とはいえ、為替レートを予測することは困難です。
そのため、為替レートの変動リスクを回避するための方法としては、為替レートがプラスに動いたら売却を検討、マイナスに動いたら現地で長期運用するなど、事前に戦略を立てておくといったことが考えられるでしょう。
海外不動産投資のリスク2:災害リスク
これは国内不動産でも同じですが、海外不動産においても現地で災害にあってしまうリスクがあります。
災害リスクに関しては、国内で不動産運用していても同様に起こり得ることなので、むしろ海外で不動産投資することでリスク分散できると言えるでしょう。
ただし、一度の災害で複数の保有物件が同時に被害に遭ってしまわないよう、保有物件を一カ所にまとめないなどの工夫が必要です。
また、現地で火災保険などの保険に加入しておくことも忘れないようにしましょう。
海外不動産投資のリスク3:ローンに関するリスク
海外不動産投資では、国内不動産投資のようにローンが充実しておらず、金利が高いことからより金利リスクが高くなります。
また、例えばプレビルド(完成前のコンドミニアム等)物件を購入する場合には、建築前の段階で担保評価が分からず、いざ建物が完成したら満足な担保価値が得られないことが分かり、想定した額のローンを受けられないことがあります。
海外不動産投資ではプレビルド物件もよく候補に挙がるため、この点についても十分注意が必要です。
これら、金利リスクや満足な額の融資を受けられないリスクに対するためには、ある程度まとまった額の現金を用意しておくことで対策できます。
金利リスクについては、借入比率を小さくすることで金利負担分を低く抑えられますし、担保評価の問題で融資が受けられないときには、差額を現金で負担することもできます。
国内不動産投資のようにめいっぱいレバレッジをかけるのではなく、現金に余裕のある状態で運用することを目指すとよいでしょう。
海外不動産投資のリスク4:情報収集に関するリスク
不動産投資では、物件周辺の状況や人口の流入状況、経済情勢などさまざまな情報を見ながら判断していくことが求められます。
国内不動産投資であれば現地に行って確認することもしやすいですし、インターネットである程度の情報を手に入れることができるでしょう。
しかし、海外不動産投資だとそう頻繁に現地に足を運ぶことはできませんし、インターネットで得られる情報だけでは投資の判断をするのに十分ではありません。
この情報収集に関するリスクについては、可能であれば、現地に住んだことがあるなど、現地情報に精通した地域を投資先として選び、物件取得後も定期的に現地に足を運べるようにするとよいでしょう。
しかし、多くの方はそのような状況にありません。
現地に住んだこともなければ、頻繁に足を運ぶこともできないという方は、国内の不動産会社で、現地に優秀なエージェントとパイプを持つ会社を通して物件を購入し、また管理を依頼するとよいでしょう。
逆に言えば上記いずれかの環境を構築できなそうであれば海外不動産投資には取り組まない方がよいとも言えます。
海外不動産投資のリスク5:法律や税制の違いによるリスク
海外不動産投資では、投資する国ごとに異なる法制や税制についてしっかり理解した上で投資を行う必要があります。
例えば、ベトナムは社会主義国のために外貨送金のハードルがやや高くなっており、不動産を売却して得た売却益は、その利益額を申告して適切に納税し、納税証明書を取得しておかなければ海外送金処理できない可能性があります。
また、ベトナムの不動産にはレッドノートと呼ばれる権利書のような書類がありますが、外国人向けにはレッドノートの発行がされづらいという側面があります。
こうした、法律や税制の違いによるリスクについては、現地の事情に精通したエージェントを探し、活用するのはもちろんですが、自分でもしっかり勉強していくことが大切です。
(とはいえ、特に新興国ではすぐに法律が変わることも多く、やはり優秀なエージェントの活用が不可欠です)。
海外不動産投資のリスク6:現地の管理会社に関するリスク
海外不動産投資においても、国内不動産投資と同じく、物件をしっかりと管理・メンテナンスしてくれる管理会社が重要な存在となります。
国内の管理会社であればインターネットの情報や知人を通して、会社の実績や評判も確認しやすいですが、海外の管理会社であればそうした情報を得ることも難しいです。
場合によっては、毎月管理費用をしっかり払っているのにも関わらず、ほとんど管理されていないといったことも起こりかねません。
国によっては、ある程度「そういうものだ」と思うしかないケースもありますが、少しでも管理の質を高めるために、エージェントを通して現地の情報を取得していくことが大切だと言えるでしょう。
海外不動産投資のリスク7:詐欺に遭うリスク
最後に、海外不動産投資については、国内不動産投資と比べて詐欺に遭ってしまうリスクが高いという点にも十分に注意する必要があります。
特に、カンボジアなど東南アジアの国々への投資については、日本人を狙った海外不動産投資詐欺が横行しており、実際に被害に遭われた方もいらっしゃいます。
心配な方はこうした国への投資を控えるか、投資する場合でも現地大手ディベロッパーや日本のディベロッパーが現地で販売している不動産のみを投資対象とするなど慎重に取り組んでいくことが大切です。
もっとも重要なリスク回避法は優秀なディベロッパーを見つけること
国内不動産投資と海外不動産投資で、物件の取得方法や、家賃収入を得ながら物件の維持管理をしていくといったお金の流れ自体は大きな違いがありません。
国内と海外とで大きな違いとなるのが、現地に足を運びづらく、また日本にいながら十分な量の情報を得ることが難しいという情報の問題であり、そのことからさまざまなリスクが生じてしまいます。
こうしたリスクを回避するための重要な方法は、再三お伝えしている通り現地の情報に精通した優秀なディベロッパーを見つけることです。
ただし、優秀なディベロッパーを見つけることもそう簡単なことではありません。
これから投資を始めるという方は、無理に海外不動産から始めるのではなく、まずは国内不動産投資から始めてみるのも一つの方法です。