少額から投資可能であり、分散投資にも向いているJ-REITは多くの魅力を備えた金融商品です。
比較的安定した投資対象であるものの、少なからずリスクも存在します。
一般的な投資信託と同じように、元本割れのリスクや利回りの保証がないという点には気をつけておきましょう。
また、金利変動や自然災害などによって、投資対象となっている物件の収益性が悪化することもあります。
分配金の額にも影響するものであり、最悪の場合には上場廃止といった場合もあるのです。
今回は、J-REITのリスクについて解説していきます。
J-REITの3つリスク
J-REITの購入を考える時には、メリットだけではなくリスクについても意識を向けておく必要があります。
J-REITが抱える3つのリスクについて見ていきましょう。
上場廃止となるリスク
上場企業の株式と同じように、J-REITも証券取引所に複数の銘柄が上場されています。
ただ、上場基準を満たすためには純資産総額などを一定程度は維持しておく必要があるのです。
収益性の悪化などによって資産が目減りしてしまえば、上場廃止といったリスクが発生します。
基準価格が下がるだけでなく、売却することが困難になってしまうといったケースもあるでしょう。
また、投資を行っているファンドそのものが倒産をしてしまうリスクもあります。
銘柄を選ぶ際には、資金の募集を募っている投資法人自体もよく見極めることが大切です。
自然災害によるリスク
一般的な不動産投資と同様に、J-REITでも自然災害のリスクはあります。
投資法人が所有している物件が、地震や水害などで大きな被害を受けてしまう可能性もあるのです。
大規模な修繕が必要になったり、物件そのものが倒壊してしまったりすることも考えられます。
その場合には収益性が悪化して、分配金が減額されてしまうといったリスクもあるのです。
価格や金利変動のリスク
J-REITは金融商品であるので、日々価格は変動しています。
元本割れのリスクもあるため、投資を行う際には基本的な仕組みをよく理解しておきましょう。
また、利回りの保証もありません。
分配金の原資は投資法人が所有する物件の家賃収入となるので、空室率が高くなれば分配金も減額されます。
そして、J-REITは個人投資家から資金を調達するだけでなく、銀行などの金融機関からも借入を行っています。
金利が上がることによって収益性が悪化してしまうことも考えられるのです。
市場の価格変動や金利の動向にJ-REITの運用は左右されるという点を忘れないことが重要でもあります。
J-REITを購入する時のポイント
J-REITへの投資によって収益を得るためには、リスクを意識したうえで基本的なポイントを押さえておくことが大切です。
どのような点に気をつけておくべきかを解説していきます。
収益性と安定性
銘柄を選ぶ際には利回りに意識が向いてしまいがちですが、収益性以外にもチェックすべき項目があります。
まず、投資法人がどのような物件に投資を行っているのかを確認しましょう。
物件といってもオフィスビルのほかに、賃貸マンション・ホテル・駐車場・商業施設・福祉施設などがあげられます。
物件によって、収益性や安定性に違いがあるのです。
自分の投資スタイルと照らし合わせて、収益性と安定性のどちらを重視するのかを見極めておきましょう。
J-REITは証券取引所に上場されている銘柄だけでも60程度あり、それぞれ投資対象としている物件が異なります。
つまり、投資に何を求めるかによって購入すべき銘柄も違ってくるのです。
収益性と安定性の2つの基準は、銘柄選びの際に重要となるので充分に検討しておきましょう。
分散投資
J-REITは少額で始められるため、金融商品そのものが分散投資に向いています。
しかし、銘柄の構成を見ると、「単一型」と「複合型」にわけられるのです。
単一型とは、オフィスビルや賃貸マンションといった1つの用途に絞り込んだもののことを指します。
オフィスビル特化型やホテル特化型といったパターンです。
その一方で、複合型は2つ以上の用途の物件に投資するものを指します。
基本的に、投資対象となる物件の幅が広いほど、分散投資としての効果は高くなるのです。
J-REITに興味はあるものの、リスクをできるだけ抑えたいという人は、複合型の銘柄を選んでみると良いでしょう。
リスク管理を意識しよう!
J-REITは物件を直接所有しなくても、不動産投資が行えるメリットがあります。
少額から始めることができ、分散投資をしてリスクを抑えることも可能です。
ただ、元本割れのリスクや利回りの保証がないなどのデメリットもあるので注意しておきましょう。
J-REITの基本的な仕組みを理解して、リスク管理を行ったうえで投資に臨むことが大切なのです。