かぼちゃの馬車事件におけるスルガ銀行の不正融資問題から、金融機関が不動産投資ローンに関して引き締めを行っているといった情報を目にすることもありますが、実際のところ、日本の不動産投資家は現在の日本の不動産市場をどのように感じているのでしょうか。
CBREの発表した「日本不動産投資家意識調査2019年」の内容を元に、現在の日本の市場について考えてみたいと思います。
CBRE「日本不動産投資家意識調査2019年」の内容について
CBREによる「日本不動産投資家意識調査」に関するプレスリリースが2019年4月4日に発表されました。
CBREが「日本不動産投資家意識調査2019年」結果を発表 – 日本の投資家の取得意欲は依然旺盛ながら、やや慎重に
内容を見てみると、日本の投資家お投資意欲は以前旺盛でありつつも、世界景気の先行きに対する不透明感の高まりからやや慎重姿勢になりつつある、とされています。
その他、以下のような特徴が見られることが分かります。
- 積極的な投資姿勢の減少傾向(「プライムまたはコア」の割合が減った)
- 不動産投資の障害は「資産価格」が高く「投資案件が少ない」こと
- 不動産投資に取り組む理由はキャピタルゲインより安定したインカムゲイン
- アウトバウンド投資については引き続き旺盛
最大の脅威は「経済ショック」と「金利上昇」
2019年に入り始まった米中貿易摩擦を背景に、日本の株価は大きく低下しました。
もちろん、当事者である米国や中国にも大きな影響が出ており、これら大国の経済が鈍化することで世界情勢にもマイナスの影響があり、すでに経済ショックといってよい状況だと言えます。
2019年5月末の段階で米中貿易摩擦は解決の糸口が見えておらず、今後この状況が続くことになれば、日本の経済にもさらなる影響が及ぶ可能性があるでしょう。
さらに、国内では2019年10月に消費税10%への増税が予定されており、実施されれば増税後の景気悪化は免れません。
つまり、日本国内においてはもう1段階の経済ショックが起きる可能性があります。
また、もう1つのテーマは金利上昇です。
アメリカでは金利上昇が続いており、2016年に0.5%だった政策金利は2019年には2.50%にまで上昇しています。
アメリカで制作金利が挙げられると、(主にアメリカの)企業が金融機関から資金調達する際に資金調達コストが上がることから、設備投資に消極的になります。
こうしたことから、企業の業績に悪影響があり、(主にアメリカの)企業の株が売られ、アメリカの株価が下落する可能性があります。
アメリカの株価が下落すると、日本の市場にも少なからず影響があるため、結果として日本の景気鈍化につながる可能性があるのです。
こうしたことを背景に、日本国内ではまだ大きな景気鈍化の影響は見られないものの、国内・世界情勢ともに不透明感が高く、投資家が慎重になっているというアンケート結果につながっているものと思われます。
アウトバウンドも意識した投資戦略も検討しよう
これまで、国内の景気が比較的好況にあったこともあり、国内不動産投資が活発でしたが、今後の景気鈍化も見込み、アウトバウンドを意識した投資戦略を検討するのもよいでしょう。
特に、日本国内の不動産投資については資産価値の大きな上昇が見込みにくいことからインカムゲイン狙いの投資となりますが、新興国であれば資産価値の上昇によるキャピタルゲインを見込んだ投資を目指すこともできます。
とはいえ、今は世界情勢そのものに不透明感があるため。慎重に進めることが大切です。