ソーシャルレンディングのなかには、不動産案件を取り扱うものもあります。
従来の不動産投資には、多額の初期費用がかかるため、投資初心者にはなかなか手が出せないものでした。
しかし、不動産案件のソーシャルレンディングを利用することで、少額から不動産投資に参加することが可能です。
こうした魅力的な一面がある一方で、ソーシャルレンディングにはリスクもある点に注意が必要です。
リスクを回避するためにも、きちんとした知識を身につけることが重要だと言えます。
今回は、ソーシャルレンディングのリスクについて見ていきましょう。
メリットばかりを見ない
ソーシャルレンディングが注目を集めているのは、金融商品として魅力的な面があるからです。
高い利回りや収益の安定性など、ほかの投資案件よりも有利なところがたくさんあります。
不動産投資と比較しても、少額から投資を始められたり安定して利益を得られたりする点で優れています。
しかし、何事も良い面ばかりではありません。
きちんとデメリットやリスクにも目を向けることで、ソーシャルレンディングを利用するべきかどうかを判断できるようになるでしょう。
まずは、ソーシャルレンディングという投資方法の持つリスクを紹介します。
貸倒れの可能性
ソーシャルレンディングは、融資を希望する企業や個人に資金を提供することで利益を得ます。
融資先がきちんと返済をすれば、元本も戻ってくる仕組みです。
しかし、融資である以上、融資先が返済不可能になるリスクがあります。
もし返済が不可能になれば、融資していた資金は戻ってきません。
ソーシャルレンディング業者も、そうした事態に備えて、融資先と保証や担保に関する契約をしている場合が多いのです。
ただ、どれだけ備えていても「絶対に安全」というわけではありません。
ソーシャルレンディングは、元本を保証するものではない点には注意が必要です。
途中解約ができない
ソーシャルレンディングへの投資は、融資という形式になります。
そのため、投じた資金をすぐに手元へ戻すことはできません。償還期間が終わるまでは、資金を取り出すことができなくなります。
投資において、資金がロックされてしまうというのはリスクの1つです。
どうしても資金が必要な場面でも、ソーシャルレンディングに利用している資金はあてにできませんし、もっと条件の良い案件があっても乗り換えが不可能になります。
利回りだけではなく、返済までの期間についても、あらかじめチェックしておくことをおすすめします。
融資先の詳細情報が不明
ソーシャルレンディングは、金融証券取引法と貸金業法という2つの法律にまたがった事業です。
貸金業法では、融資先の企業名などを含め、詳細な情報を開示してはならないと定められています。
そのため、投資家は融資先について概要程度の情報(不動産を取り扱っている企業など)しか得ることができません。
融資先の情報がわからないというのは、融資する側からすれば大きなリスクです。
この点については、ソーシャルレンディング業者がしっかりと調査や審査を行っていると信用するしかありません。
仮に、融資先が債務超過に陥っている状態だったとしても、投資家にそれを知る方法はないのです。
不動産案件のリスク
不動産案件を扱うソーシャルレンディングには、特有のリスクがある点も見逃せません。
不動産案件ソーシャルレンディングへの投資を検討するなら、そうした部分にも目を向けるべきでしょう。
物件を確認できない
一般的な不動産投資では、投資物件について自ら調査を行うのは基本です。
立地条件や周辺環境も含めて確認しなければ、優良物件かどうかは判断できません。
しかし、ソーシャルレンディングの不動産案件では、投資物件そのものを確認できないのです。
業者から開示される限られた情報から、希望に合った案件かどうかを判断する必要があります。
担保価値
不動産案件のソーシャルレンディングでは、対象となる不動産物件が担保になっていることが少なくありません。
不動産が担保になっているため、仮に貸倒れ(デフォルト)が起こったとしても、一定の元本は取り戻すことができます。
しかし、担保となっている不動産にそれだけの価値があるかどうかは、ソーシャルレンディング業者が査定します。
そのため、「本当に担保価値があるのか」についても、業者を信用するしかありません。
一般的な不動産投資であれば、自分の目で確かめたりプロに調査を依頼したりもできますが、ソーシャルレンディングでは業者の提示する情報のみに頼るしかないのです。
リスクを分散しよう
ソーシャルレンディングは、サービスが始まって間もない投資方法です。
そのため、投資者保護などの面で、ほかの投資案件に送れている部分があります。
利回りの高さだけに意識を向けて、リスクを知らないまま投資をするのはおすすめできません。
しかし、安定した収益性や少額からでも始められる手軽さなど、メリットもたくさんあります。
デメリットもきちんと理解したうえで、上手にリスク管理ができれば、利益を狙うことも可能です。
ソーシャルレンディングを利用する場合でも、リスク分散を意識して、1案件や1業者だけに資産が集中しないように注意しましょう。