サラリーマンの方の中には不動産投資に興味があるけれど、自分が成功できるのか不安という方も多いでしょう。
結論から言えば、サラリーマンが不動産投資で安定した収益を得ることは可能です。
場合によっては不動産投資の収益が本業の稼ぎを上回り、不労所得を得て脱サラし、投資家や資本家の仲間入りをする人がいることも事実です。
しかし、不動産投資の世界は誰もが成功できるわけではなく、何の努力もなしに成功するほど甘い世界ではないということを知っておく必要があります。
不動産を「保有」し「貸付」て「収益」を得るということは、言わば「不動産事業」を営んでいることとなんら変わりがないのです。
何も知らず、何の努力もせずに事業が成功することがないのと同じく、不動産投資をはじめるにあたり事前に知っておくべき知識やおさえておくべきポイントがあります。
本記事ではサラリーマンの方が不動産投資をはじめるメリット、知っておくべき知識、おさえておきたいポイントなどを紹介します。
これから不動産投資をはじめようと思っているサラリーマンの方には必ず読んでいただきたい内容です。
不動産投資のメリット
冒頭で「不動産投資は誰でも成功するわけではない」「何の努力もせずに成功するほど甘い世界ではない」と述べましたが、その分大きなメリットがあることを知っていただきたいと思います。
不動産投資には以下のようなメリットがあります。
収入の絶対量が増える
不動産投資をすることで誰もが実現したい目標が「収入の増加」でしょう。
不動産投資が成功している=安定して収益を得ているという状況を作り上げられれば、収入の絶対量は確実に増えると言えます。
毎月安定して家賃収入を得ることで、数十万円、場合によっては数百万円の収入増加も実現できます。
収入が増えれば、また新たな物件に投資するための資金にしたり、好きなことに使えるお金が増えたり、将来のための貯蓄に回すことができたりと、可能性が一気に広がります。
サラリーマンが会社からの給与以外に収入を得る方法としては「副業」が代表的ですが、不動産投資はやり方によって強力な副業になります。
突き詰めていけば副業の域を超えて、本業にすることも十分可能なポテンシャルを秘めています。
ただし、リスクがあることも忘れてはなりません。
一般的な副業は単純に働いた分の収入が上乗せされるため、副業をしていないからといって本来の収入が減ることはありません。
しかし不動産投資が成功していない=安定して収益を得られていない場合は、月々マイナスが発生し収入が減る可能性があります。
リスクについては後ほど詳しく紹介しますが、不動産投資で失敗した場合は月々の収入が減ったり、多額のローンを抱えて資金がショートしたりという可能性があることを覚えておく必要があります。
保険の代わりになる
不動産投資の業者などは「不動産投資が保険の代わりになる」という紹介をすることが多いです。
どうして不動産投資が保険の代わりになるの?と疑問に思う方も多いですが、これは事実であり不動産投資のメリットの一つです。
不動産投資を行う場合、特にサラリーマンの場合は銀行から借入を行い、ローンで物件を購入します。
銀行ローンには「団体信用生命保険(通称:団信)」という生命保険が付帯*しています。
*場合によっては団信がついていないローンや団信がオプションの場合もありますので、事前によく確認をする必要があります。
団信に加入している借主(ローン契約者)が死亡した場合、残りのローン返済が免除され、購入した不動産は残された家族が相続することが可能です。
仮に2,000万円の物件を購入してすぐに借主が死亡してしまった場合、2,000万円分のローンは免除され、2,000万円の価値がある物件が残るというわけです。
この場合2,000万円分の生命保険に加入することとほぼ同じであるため、不動産投資が保険の代わりになったと言えるのです。
ただし団信にも弱点はあり、基本的に「死亡した場合」にのみ保険が適用されるということです。
例えば、死亡はしていないけれど長期間働けなくなってしまった場合や、病気・事故の影響でこれまで通り働けなくなってしまった場合などは保険が適用されません。
つまり、「収入がなくなること」や「収入が下がる」ことに対しては保険が適用されないのです。
月々のローン返済額が収入に対して余裕のある金額であれば問題ありませんが、ローン返済額の負担が大きい場合に収入が減ってしまうと、必然的に生活を圧迫することになります。
最悪の場合はローンの返済ができず、物件を手放すことになる場合もあります。
ローンを組む際は返済計画に無理がないように、借入額はできる限り少ない方が良いのです。
レバレッジがきく
投資には「レバレッジ」という考え方があり、自己資本だけでなく他人の資本を活用して投資効率を高め、利益率を高めることを指します。
上述したように、不動産投資は銀行から融資を受けて物件を購入することがほとんどのため、まさにレバレッジがきいていると言えます。
自己資金が数百万円程度でも、銀行から融資を受ければ数千万円の物件を購入して収益を得ることが可能だからです。
仮に自己資金200万円、月々3.0%の利回りの条件で投資を行なったと仮定すると、以下のような計算になります。
200万円×3.0%=6万円(利益)
一方、自己資金200万円、銀行からの借入が1,800万円、返済金利が-1.5%、月々3.0%の利回りの条件で投資を行なったとすると、以下のようになります。
(200+1800)×(3.0-1.5)%=30万円(利益)
銀行からの借入には金利が発生するため、100%自己資本での投資よりも利回りが落ちるものの、レバレッジがきいているため利益は5倍となります。
また、厳密に言えば自己資金200万円のみで購入できる不動産はほとんどないため、不動産投資をするというスタート地点に立つことすらできないでしょう。
ローンを組むのはメリットばかりではなく、必ず返済をする必要があるためリスクも伴います。
しかし、自己資金を数千万円単位で用意できなくとも、数千万円クラスの投資をする舞台に立てるのは非常に大きなメリットだと言えるのではないでしょうか。
ただし、自己資本の比率が少なく、借入額が多ければ多いほど返済額も多くなります。
上述したように返済計画に無理があると収入が減少した際に家計が圧迫されてしまうこともあります。
レバレッジをきかせるのは重要なことですが、借入金額が多すぎてもダメだということは覚えておいてください。
可能ならば自己資本比率を最低でも20%程度、可能であれば40%程度までもっていけると良いと言われています。
年金・老後資金の代わりになる
不動産投資の収益は月々の家賃収入(インカムゲイン)と物件の売却益(キャピタルゲイン)に分けることができます。
サラリーマンをリタイアして老後の生活を送る際に、不動産投資による月々の家賃収入があれば、会社に勤めていなくとも一定の収入を確保することが可能です。
もしくは、サラリーマンをリタイアする際に不動産を売却して売却益を得ることができれば、老後資金の大きな足しになります。
つまり、不動産投資が上手くいっていれば、年金の代わりになり老後資金の大きな足しになるということです。
支給開始年齢は上がっていく
2019年現在、国民年金の支給開始年齢は65歳です。
そして、少子高齢化により財源の確保が厳しくなるため、今後はますます年金の支給開始年齢は引き上げられることになります。
数十年後にはそもそも年金制度が破綻し、年金支給が一切なくなる可能性も決して低くないと言われているのです。
年金に頼らず自分たちで老後資金を確保しなくてはならない時代がくるということです。
一方で日本の平均寿命は年々伸びており、現在の日本は世界でも有数の長寿大国です。
寿命が長くなるということは、働かなくなってから生活をしなくてはならない期間が長くなるということで、老後資金がその分多く必要になります。
老後資金は一人当たり約数千万円〜数億円と言われており、働いているうちにそれだけの資金を貯める必要があるのです。
上述したように、不動産投資はレバレッジがきいているのもポイントです。
自己資金だけでは数千万円〜数億円の老後資金を用意することが難しい場合でも、銀行から融資を受けてレバレッジをきかせることで利益率をあげることができます。
不動産投資で収益をあげることができれば、老後資金を確保する大きな助けになってくれます。
ただし、不動産投資が全て年金の役割を果たすかというとそうではないことも覚えておく必要があります。
購入した時点では入居者がつき安定した家賃収入が得られていても、自身が老後生活に突入する20〜30年後に物件の価値が同じままである保証はないからです。
賃料が下がる可能性もあれば、物件の価値がさがるため売ってもほとんど利益が出ない場合もあります。
特に物件の構造に問題点がある場合や、きちんと管理・修繕を行なっていない物件はどんどん価値が下がります。
どんな物件でも老朽化するため、きちんと管理と修繕をして数十年後にも入居者が途切れることがない「価値のある不動産」にしていかなくてはならないのです。
節税になる?
不動産投資業者や不動産投資をすすめるwebサイトなどでは、「不動産投資には節税効果がある」ということをうたっている場合があります。
不動産投資を行なっている場合、結果的に支払う税金が本来よりも少なく済む場合があるのは事実です。
不動産を購入してから一定期間は、購入費用を「減価償却費」として経費計上できます。
また、不動産の取得や管理にかかった費用は「経費」にできますので、支払う税金が減る可能性はあります。
しかし、これを「節税効果」と呼べるかは疑問です。
現在の収入が非常に高く、高額納税をしている医師や弁護士といった職業の人の場合は上記のことが当てはまりますが、年収500〜700万円クラスのサラリーマンでは節税効果が思ったように感じられないことが多いです。
さらに、減価償却費として計上できるのは一定期間のみですので、その期間を超えてからは不動産投資が順調であれば確実に収益が発生しますので、税金はかかってしまうのです。
もし永続的に不動産投資が節税効果を持つ場合は、ほぼ確実に不動産投資自体の収益がマイナス(赤字)になっています。
しかし、不動産投資で損失が出ているということは不動産投資自体が上手くいっていない、もしくは失敗しているということであり、節税効果を喜んでいる場合ではありません。
そもそも不動産投資の目的は「収益」をあげることであり、上手くいっていれば収入(課税所得)は増えて然るべきなのです。
一時的に物件の所得や修繕・改修などで資金が必要となり、出費がかさんだために課税所得が減ることはありますが、常に不動産投資で損失が出ている状態は決して健全とは言えません。
不動産投資は節税効果を期待して行うものではなく、あくまで収益化を目指すべきものだと考えてください。
不労所得を得られる
サラリーマンの方にとって「不労所得」というのはとても良い響きだと思います。
文字通り働かずしてお金が入ってくるという夢のような状況です。
不動産投資が上手くいけば、不労所得を得られることは間違いありません。
不動産投資で安定した所得を得ることができれば、会社勤めをすることなく収入を確保することが可能だからです。
しかし、「働かずして」ということが「何もせずに」とイコールではないことは覚えておく必要があります。
不動産投資はただ物件を買って終わりではなく、入居者がついてはじめて収益(家賃収入)が発生します。
不労所得とはいえども、やることは多い
時間が経って物件が経年劣化してくれば、修繕をする必要も出てきます。
入居者が引越しをすれば次の入居者のために部屋を原状回復する必要もあります。
その場合次の入居者を見つける必要も出てきます。
もしくは時代の潮流によってリフォームやリノベーションをする必要が出てくる場合もあります。
物件を買った後は何もせずに勝手にお金が入ってくるということではないのです。
とは言え、ほとんどの場合上記のような客付やリフォームなどはプロの業者に外注することになります。
しかし、だからと言って全て業者任せにしておいて良いかというとそうではありません。
業者によっては悪質な業者もあり、騙される可能性もあるでしょう。
中には客付が上手くいかず空室がなかなか埋められない業者もあるでしょう。
リフォームやリノベーションもある程度は自分で決める必要が出てきます。
不動産投資に限ったことではありませんが、「投資」で収益をあげようと思ったら、何もせずに待っているだけとはいかないのです。
株やFX、先物取引などの値動きが激しく数分数秒を争う投資ほどのシビアさはないかもしれませんが、不動産投資もそれなりの知識を持って自分で不動産を運営していくという心構えが必要です。
不動産投資のリスク
ここまで不動産投資のメリットをご紹介してきましたが、不動産投資をはじめるうえで絶対に知っておくべきなのはメリットよりもむしろデメリットやリスクです。
数百万円〜数千万円の借入をして行う投資であるため、失敗した時のダメージも大きくなるからです。
以下では不動産投資の代表的なリスクをご紹介します。
リスクを完全に排除することはできませんが、リスクとどのように向き合い対処するのかを考え、不測の事態が起こってしまったときに備えるのが重要です。
借入(借金)のリスク
上述のように、不動産投資はほとんどの場合で銀行から借入をして物件を購入します。
借り入れは言わば「借金」ですから、この時点で数百万円、数千万円のリスクを背負っていることになります。
ただし、借入をして投資を行うということは、レバレッジがきているということでもあるため、一方ではメリットでもあると言えます。
一概に借入をすることが悪いとは言えないため、上手な付き合い方を考える必要があるのです。
例えば、不動産投資で成功している人の中には「自己資本比率」を〇〇%以上になるように借入をするというルールを設けている方もいます。
よく「頭金0円からでも大丈夫」「初期費用は一切なし」といったうたい文句の広告も多々あります。
頭金0円で不動産投資をはじめることが悪いとは言いませんが、借入額が多ければ多いほどリスクも高くなることは覚えておいたほうがいいでしょう。
無理のない返済計画を立て、少なくともその物件から収益が発生しなくとも生活が困らないレベルにしておく必要があります。
空室のリスク
不動産投資は居住用とは違い、物件を買って終わりではなく、むしろそこからがスタートです。
自分で全て行うにしても、管理会社に依頼するにしても、入居者がついてはじめて家賃収入が発生します。
逆に言えば、入居者がいない「空室」状態のままでは家賃収入が発生しないのにローンの返済をする必要があるということです。
月々の収入がプラスになるはずの不動産投資が、家計を圧迫する原因になりかねないのです。
不動産投資で失敗する人の多くはこの「空室リスク」に対処しきれず、ローンの返済が厳しくなり、結果的に物件を手放すことになる人が多いのです。
空室状態を作らないように努力する、空室状態になる可能性が低い業者に管理を依頼するのはもちろんですが、リスクは起こることを前提に考えなくてはなりません。
家賃滞納のリスク
無事に入居者がつき、家賃収入が毎月発生すると思ったら、予想外の出来事に足をすくわれることもあります。
入居者がついたからといって、毎月きちんと家賃を払ってくれるかどうかわからないからです。
いわゆる「家賃滞納」リスクで、意外なことに空室のリスクと同等かそれ以上に起こりやすい事態です。
不動産オーナーがリスクを回避するために、最初に補償金を貰い受けたり、連帯保証人をつけたりすることも多いです。
しかし、家賃を滞納されてしまった場合は一時的だとしても、ローンの返済が厳しくなる可能性が高いです。
既に述べましたが、最悪の場合は家賃収入がなくなってもローンの返済を維持できるだけの計画性が必要です。
下落リスク
不動産における下落は大きく分けて2つの意味があります。
一つ目は「家賃」が下落して家賃収入が減ってしまうこと。
完全に家賃収入が途切れてしまうよりも良いと思いがちですが、一度下がり始めた家賃はなかなかもとに戻せません。
二つ目は「物件の価値」が下がってしまうことです。
家賃の下落にも関係しますが、もっとも影響が大きいのは物件を手放す際です。
物件の価値が下がってしまっているため、こちら側が希望する価格で売れず、売却益が思っていたよりも出ないというリスクがあります。
もし物件を売却する際に価値がさがってしまった場合、残りのローンが全額払えず、借金だけが残り続ける可能性もあります。
最悪の場合は物件を売却すればローンは返せるといった考えを持つのは非常に危険なのです。
天災のリスク
他のリスクはある程度コントロールできても、天災リスクだけはコントロールができません。
できることは地震や火事が起きにくいと考えられる地域の物件を購入すること、地震や火事に強い物件を購入することぐらいです。
もし地震で物件が損壊したり、火事で損傷した場合は修繕が必要となります。
保険に加入していれば修繕費用がまかなえることもありますが、修繕中は家賃収入がストップします。
仮に保険に加入しており保険が下りたとしても、一時的に家賃収入がストップすれば、その期間はローンの返済だけが残ることになるのです。
不動産投資はリスクをよく理解してはじめる
不動産投資にはたくさんのメリットがあり、副業の域を超えて、本業で成功している人も非常に多い投資です。
うまくいけば毎月一定の家賃収入が入ってくるため、収入が倍増することもあります。
しかし、不動産投資は決して簡単ではなく、誰でも成功できるほど甘い世界ではありません。
たくさんのリスクがつきまとい、中にはうまい話に釣られてしまいお金を騙し取られることすらあります。
不動産投資をする上でもっとも大切なのは、あらかじめあらゆるリスクを考えて起き、できれば対処方法まで考えておくことです。
また、ローンを組む際はとにかく無理のない返済計画で借入するのが大切です。
最初から家計を圧迫するようなローンの組み方をしてしまったら、少し問題が起こっただけで立ち行かなくなってしまうからです。
リスクコントロールを上手にしながら、夢のサラリーマン大家さんを目指しましょう。